人気ブログランキング |
第15回カライモ学校『藤井貞和の詩を聴く②』
『藤井貞和の詩を聴く①』のくわしくは↓にあります。
さあ、第2回、みなさまお待ちしております。
http://karaimo.exblog.jp/18956012/

ぼくが今週、読んだ詩でいちばん好きだった詩を書きます。
『ぼくは詩人じゃないよ』とぼくが言ったら
『詩を読む人は詩人だって〇〇が言ってたよ』と竹村くんは言った。
〇〇は詩人でおそらく好きな詩人だったと思うがまったく誰だか忘れた。
なので、この言葉は竹村くんの言葉になった。
ぼくは詩人だ。



『終章』  倉橋健一

ある男
愛する女疫病に倒れ
快復の兆しいよいよおぼつかなくなると
迷わずに研ぎ道具をもって裏山に登り
長い年月閉ざしたままだった穂屋に入った
折から椎の枯れ木どどと倒れる音して
地底からも突風ぐらり穂屋も揺るがせたが
男の五感までは達したかどうか
破れ天井から漏れるかすかな月明かりをたよりに
古びた長持ちの塵を払うと
代々魔除けにつかってきた家伝の斧を取り出して
無心に研ぎはじめた

このまんま息絶えるならば
女の魂は男の介入を拒んだまま軀を離れて
もはや此岸に戻ることはかなわないではないかと
信じられたときから
それならばいっそのことこの手に
と閃きえたからだ

ある男
いくにちもいくにちも
ひたすらに研ぎつづけ
研ぎつづけるあいだ
まわりに存在するのは
砥石の洩らすかすかな磨り音ばかり
その身を滾らせた
猖獗をきわめた疫病は
貧しい近辺の村々をもすでに呑み込んで
とうとう女を看取ってくれるはずだった巫女の媼すらをも
梁から落ちた青大将と共に連れ去った
女の吐息もいまはもう霧に隠れ
霧を照らす月明かりも入りの刻限
むささびばかりが
空を飛ぶなか
砥石に魅入られた男ばかり
闇もものかはと
刃をば拾いつづける

c0184882_0201774.png


第15回カライモ学校 
『藤井貞和の詩を聴く②』


みなさん新年好。
今年も新しい幸福をたくさん受けてくださいね。


新年早々ですが、
京都精華大学で以下のような企画があって、
http://karaimo.exblog.jp/19058989/
そのプレ企画としての前回であり、ポスト企画としての今回であると、
後から言うのは後出しジャンケン?

日時:2013年1月19日11時~12時

場所:カライモブックス
〒602-0094 京都市上京区大宮通芦山寺上ル西入ル社横町301
http://www.karaimobooks.com/

料金:コピー代100円(既に持ってる人は不要)
 ワンブックオーダー(100円の本でもいいので1冊買ってください、ということです。
 ワンドリンクオーダーの古本屋バージョンということです。
 前回参加者はゼロブックオーダー可です)。

内容:藤井貞和さんの朗読CD『パンダ来るな』(2001年、水牛)の後半を聴く。
最初に詩を黙読し、次に朗読を聴く。

目的:前回、朗読CDを聴きました。
 はじめての試みでしたが、ぎりぎり成立したように思います。
 朗読だけ聴くのと、文字を読みながら聴くのとでは、ちょっとちがう。
 ぐじゃぐじゃまりもが、ぐじゃぐじゃぐじゃまるになる感じが、ちがう。
 というわけで、前回聴ききれなった残り三篇、すなわち、

11:あけがたには 
 12:つぎねぷと言ってみた 
 13:母韻 


を聴きます。
いずれも名詩です。


それから、希望者が少なければ、1Fのパソコン画面にて、
2002年4月に詩の番組「Edge」にて放送されたの映像テレビ番組を見ませんか。


Edge 第13回 4月13日 深夜0:00~0:30
出演:藤井貞和(詩人)
演出:山田あかね 制作:テレコムスタッフ
タイトル:「ことばに杖をさして」
http://www.edgeofart.com/month/month0204.html

「神の子犬」など数篇の朗読映像を含み、藤井さんの書斎に分けいる貴重な映像です。
朗読映像としてはしかし、『反歌・急行東歌篇』のほうがよい、と言ったら怒られちゃうね。


予約:不要。まだコピー資料が五部余ってるので、参加お願いします。


カライモブックス・オンラインショップもよろしくね
http://karaimobooks.shop-pro.jp/
by KARAIMOBOOKS | 2013-01-10 01:10 | イベント
<< 新入荷。内田樹、森岡正博、バフ... 新入荷。石牟礼道子、森崎和江、... >>