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第18回カライモ学校≪水俣病を学ぶ・入門編≫を終えて
塩浜の際の山に住もうとった狐共は、黒岩のオサンジョというのが女親分でした。もう、水俣中その名前は届いとりました。黒岩は、硫酸工場の建った所にあった大きな岩ですと。それを割るときは、会社は神主さんを頼んで割りなさったですと。オサンジョは、山は尾が切れてしまう、工場は広がるして、もう住む所のないもんですけん、眷属をひきつれて、長島に渡ったていいますでなあ。空気のいい所に行こうてなあ。船を一艘借りきってな。どこの船頭さんやったっじょいよ。人間に、そう、化けとったっでしょうなあ。港に着いた所が、後も見ないで、ツンコツンコやって行ってしもうたて。銭は木の葉やったろうわいなあ。
 
 1947年10月 橋本ユキ(明治35年生) 聞書水俣民衆史2巻より引用

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2009年2月、御所浦島。
アコウの木の下に高菜とお地蔵さん。
この風景は忘れられない。『うつくしか』と言いたかったのに、言えなかった。
御所浦島の高菜漬はなあ、海で洗ってから干すとですよ、と聞いた。
こん島には川がなくてなあ、真水が貴重だからよう、とも聞いた。


7月20日は第18回カライモ学校≪水俣病を学ぶ・入門編≫でした。
大人9人子ども3人カライモ2人(みっちんは実家でお留守番)の14人の会でした。
参加された2人のかたは来月に水俣に行かれるそうです、嬉しい。

水俣病センター相思社の職員のかたがこう言われました。
『今の放射能汚染が起きてしまった状況下にいる自分たちは、昭和30年代に排水を放置された水俣と同じ』、と。
なぜ、この言葉を発したのか、ということを考えた、そしてみなさんにも考えてほしいと思い、排水が放置された12年間(公式確認の1956年から1968年)を中心に水俣病の歴史を話しました。
こんなおもしろくない話をなぜしたのかと、なぜだといいますと、2ヶ月前にとある勉強会に呼んでいただきました。常連のおばあさんに『わたしたちは年寄りやからね、水俣へ行きたいんやけど、遠くて、遠くて。おばあさんばっかりで申し訳ないんやけど、みんな、原発事故が起きて水俣のことが知りたい行きたいと思ってるんです、だけど年寄りでしょ。あのう、話して下さらないでしょうか。学者や活動家じゃなくて、あなたたちみたいに普通の人の話が聞きたいんですよ、おばあさんたちは』と、言われて、ぼくたちはおばあさん(本当におばあさんばっかりだった)の前で水俣と水俣病と原発のことを90分ほど話した。その後、みんなで話した。
『若い人がこんなに、社会のことを考えているとは思わんかったわー、あなたたちのまわりの若い人はみんな、あなたたちみたいなの?』と、言われて本当にびっくりした。本当にびっくりした。最高齢の85歳のおばあさんは『私は首の下まですっぽりと守られつづけている。だからせめて口先だけでもずっと言ってきた。戦争反対、安保反対、原発反対、と言ってきた。そして、もう本当に口先しか動かなくなってしまった。だけど、私の口先はまだまだ動くんやで、あははは』と。
おばあさんたちはぼくたちのことを知らなくて、ぼくたちもおばさんたちのことを知らなかった。話さないかんな、と強く思った。
だけど、水俣と水俣病の関係の問題が残っていた。ぼくたちは研究者でもなく支援者でもなく旅行者として水俣を愛している。その水俣は水俣病を含んだ水俣であることは間違いない。細かいとか言われそうだけど、水俣の水俣病であって、水俣病の水俣ではないとすごく感情的に思っている。
その愛する水俣を話そうと思ったときに、やはり水俣病のことを放り投げたくはない。水俣病のことを知って考えたうえで、水俣のあの店のチャンポンがおいしいとか、あそこの森がすっごいいいとか話したいし、そうじゃないと話せないと思った。
どうせ、うまくは話せないのだけど、話すんだから、伝わってほしい、伝えたい、という思いはことのほか強い、水俣にかぎっては。
だから、今回は、水俣に旅行に行き8年目にして、カライモ学校18回目にして、ようやく、好きじゃない水俣病の話をすることにしました。そして、しました、伝わったのか。
福島を語るためだけに水俣を語らないように、これがいちばん注意したことだった。ただ、話しだすと夢中になっちゃって、どうだったか。
ぼくは自分の書きたいと思う文章が書けない、今も書けていない、なので話すことにした、どんどん話す、話します、その方が向いているとわかった。
話を聞いてくださったかたがた、本当にありがとうございました。すごく感謝しています。


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